あぁるぴぃJRPSちば会報149号


■ 投稿

★ロービジョン川柳&俳句
担当 中野
今号の作品はご家族や友人など、身近な方々に関わる句が多く集まりました。
絆が深ければ身近にいても遠くにすんでいたとしても、たとえ亡くなられて何年たったとしても、きえない思いがあり、鮮やかに句がうまれてくるのでしょうね。
さて、次号は12月号となります。俳句の季語は「秋」と「冬」の句を募集いたします。
投稿お待ちしています!

☆ロービジョン川柳
ペンネーム:ざわざわ
・孫蝉が 背中にピタリ じぃじぃと
【解説】
遊びに来た孫が、見えない私の後方に回り背中にくっつき「じぃじぃ」と繰り返すのです。

ペンネーム:千葉のピーナツ
・声かけで 行き先歩数 リセットし
【解説】
私はほとんど見えなくなりましたが、歩き慣れた駅前まではバスを利用したりして白杖で単独行動をしています。
目標物までの歩数を、覚えているので頭の中でカウントしている途中に、声掛けされると忘れてしまい困りますが、そんな時は甘えて肩を借りるようにしています。

・宴会で 2時の方向 天ぷらと
【解説】
宴会で私を視覚障害者と知る友人からお盆の上に並ぶ料理の場所をクロックポジションを使って教えてくれるようになりました。慣れてくると結構助かります。


☆ 俳句
ペンネーム:卯の花
・サングラス 強く生きると 決めた日に
【夏の季語】 サングラス
サングラスをかけると、その気はなくても、格好つけているように感じます。
私の俳句の師は、卯ノ花さんらしい句と言ってくださいました。ああ、遮光眼鏡のことか、と後から気付きました。

・てんとむし 少年のゆく 場所に風
【夏の季語】 てんとむし
俳句の五・七・五の音に合わせるために、季語の音を縮めることがあります。
てんとむしは、てんとうむしのことです。
夕焼を、ゆやけと読んだり、足裏をあうらと読んだりすることもあります。
少年の未来にはきっといい風が吹いている。

・噴水の 枯れても人を 待つすがた
【夏の季語】 噴水
市で開催した吟行句会に参加しました。1時間ぐらい各自で散策して、俳句をつくって、提出します。
出された俳句を無記名で並べて、参加者はその中から、特選と並選を選びます。
この句はその吟行の時の句です。
公園を賑わせていた噴水がいつの間にか使われなくなっていました。その姿が寂しげに思えて、つくりました。
 
・香水が 再会の夜の 邪魔をする
【夏の季語】 香水
コロナ禍で会えていなかった友人に久しぶりに会いました。だけど、この人こんな 香水付ける人だったっけ?と思ったのです。香水を付けることはいいんですが、私の好みの香りではありませんでした。

・ジーパンを 切って短パン 海開き
【夏の季語】 海開き
私は海のそばに住んでいます。夏になると、家族で何度か海水浴に行きます。
本当にジーパンを切って短パンにすることはありませんが、海開きはそのくらい、うれしい、わくわくさせられるものです。

ペンネーム:友酒
・愛猫や 蜥蜴咥えて のし歩き
【夏の季語】 蜥蜴(とかげ) 
我が家の猫は、庭に出てはトカゲやヤモリなどの小動物を、追いかけ狩りをします。
捕まえるとどうだといわんばかりに口に咥えて誇示します。

・父の日の 報道吾を ざわめかせ
【夏の季語】 父の日
三人の子の父親である私は、連日父の日を伝える報道に当日、酒の一本でももらえるかと期待してたのだが、何事もなく過ぎてしまった。

・女酒 薬に溺れし 桜桃忌
【夏の季語】 桜桃忌(おうとうき) 
6月13日は、酒と女と麻薬に溺れて死んだ太宰治の命日。桜桃忌という。
・終戦日 母の体の 弾の傷
【秋の季語】終戦日 
母は、戦時中千葉市に疎開していたとき
七夕の日の空襲に逢い、至近弾を受け、指を飛ばされるなどの大怪我をしました。
死ぬまで傷痕が残っていました。

・終戦記念日 不戦を誓い 父母子らに(ふぼ、こらに)
【秋の季語】 終戦記念日 
戦争を体験した父母は、ことあるごとに私たちに戦争の恐ろしさを伝え、二度としてはいけないと諭した。

問い合わせ先 中野 senryuu@crp.jp


★お役立ち情報
  川野
 5月25日(土曜日)、初夏の気持ちの良い天気の中、お台場の日本科学未来館でAIスーツケースという歩行支援ロボットの体験会に、飲み仲間で同じ年の友人と二人で参加してきました。AIスーツケースは、視覚障害者の移動を支援して自分で考えて目的地まで案内してくれるロボットです。見た目はスーツケースですが、内部にコンピューターやセンサー、モーターなどが組み込まれていて、人や障害物を避けながら、目的地まで安全に案内することを目指しています。
 日本科学未来館は新交通ゆりかもめのテレコムセンター駅前にあります。JR京葉線の新木場駅経由で行くのが一番早いのですが、乗り換えが多いので、今回はJR総武横須賀線の新橋駅乗り換えでテレコムセンター駅まで行きました。
 10時に到着し3階総合案内で予約をしていることを伝え、すぐ横にある「AIスーツケース・ステーション」に行きました。決められた事項への同意書を友人に書いてもらい、まずはAIスーツケースの取り扱いの説明を聞きました。スーツケースと聞いて海外旅行に持っていく大きなものを想像していたのですが、実際は縦30センチ、横30センチ、高さが40センチくらいのもので、スーツケースというより、最近多くの人がお持ちの通称「ゴロゴロ」とか言われていて持ち手を引いていく旅行カバンのようなものでした。
 本体から伸びた持ち手を左手で持って、AIスーツケースの動く方向についていきます。持ち手の高さは身長174センチの私のベルトあたりで私にはちょうど良い高さでしたが、高さの変更はできないそうです。持ち手は20センチくらいで、そこに操作パネルがあります。上部の一番前に十字ボタンがありスタートする時のスイッチや速度変更ができます。手を添える真ん中あたりに上下左右に細長い突起があります。下の突起はスタートスイッチを押した後、手をふれていると自動的に動き始めます。上のものは直進する時に左右のものはその方向に曲がる時に振動します。あとの必要な案内はネックスピーカーを首からさげてそこから声が聞こえてきます。
 体験ルートは3階からエレベータに乗って5回まで行き、科学未来館の常設展示コーナーを回るものです。途中トラブルがあった時のためにスタッフさんが後ろをついてきてくれます。事前にプログラミングされたところをカメラで周囲を検索しながら進んでいきます。動き始めてすぐに何度も止まってしまい、スタッフさんに「白杖を振っているのでそれを検知しているかも」と言われ、白杖を動かすのをやめたらスムーズに動くようになりました。ちゃんと検知機能が働いている事を認識しました。
 エレベータの中ではどのように動くのか興味がありましたが、中に乗り込むとスーツケースのうしろを起点にしてグルっと180度旋回したので、私もそれについてエレベータの中を回り入口を向いてとまりました。大きな動きをするのでエレベータに人が乗っていることを検知すると、AIスーツケースはエレベータに乗り込まないとのことです。5階に上がると人が増えていました。進行方向に人がいると、それを検知してネックスピーカーから「前に人がいます」と聞こえて、人を迂回する方向を考えているようです。この迂回を考える時間は数十秒かかり、かなり長い時間待っているなと感じました。
 点字コーナー4か所を回りエレベータ前に戻ると、急にグルグルと回り初めてしまい手を離せば止まることを忘れていた私は、一緒にグルグルと4回くらい回ってしまいました。自分のいる場所が認識できなくなったとの事でした。スタッフさんがスマホを使い初期設定をして再スタートしました。1度の体験の中で必ず1回は不具合が出てしまうのだとスタッフさんが言っていました。そこから3階へ戻り、体験は終了です。あとはiPadでアンケートを記入してもらいました。全行程30分くらいでしたが、とても珍しくおもしろい体験ができました。まだまだ実用化には時間がかかると思いますが、実用化されると視覚障碍者にとって大変有意義なものになると確信しました。
 科学未来館を出たのが11時30分ころだったので、豊洲市場まで行き生ビールで乾杯して美味しいお寿司をいただき友人に感謝して帰宅しました。
 体験会は1日に3回おこなっていて、視覚障碍者の事前予約は3週間前の10時から電話で受け付けています。
 

 以下、A IスーツケースのURLと予約電話番号です。
https://www.miraikan.jst.go.jp/research/AccessibilityLab/AIsuitcase/index.html#appended-anchor-1
03-3570-9151

★みんなの広場
 船橋市在住の58歳男性です。平成19年に車で人を撥ねそうになったことが契機で受診し、網膜色素変性症と診断されました。現在、視野角10度位、人混みで人にぶつかるなどの不便さは感じていますが、中心部の視力が良いおかげで、まだ白杖は使用していません。趣味はテニスで、家族や近所の仲間と週末にテニスを楽しんでいます。
 さて、今回は、網膜色素変性症テニスプレーヤーのテニスあるあるをご紹介します。
@ネットやフェンスに転がったボールに気付かないので拾えない。拾おうとすると、違う方向を探そうとするから、周囲の人から、右だの左だの、すいか割りの遊戯のような状況になる。
Aサーブのときに自分の上げたトスが見えずに、そのまま頭にボールが落ちてきて笑われる。
Bラインの位置が瞬時に判らず、違うポジションで構えようとして、注意される。
Cダブルスのラリーが続く展開で、前衛のポジションの際に、ボールを途中で見失うが見えている振りをして、ボールが自分の所に飛んでこないことを祈ってプレーを続ける。意外とばれない。
Dダブルスの際に、自分が弱点だと見抜かれると狙われるが、奇跡的に返球してエースを取り、驚かれることもある。
 今の私のボールの見え方は、ボールを打つまでの間のボールの軌道が2,3枚の静止画としてしか見えず、連続して見えていない気がします。手元付近のボールは正確に見えてないけど何となくラケットに当たっているようです。こんなポンコツテニスプレーヤーですが、6月に夫婦で混合テニスの市民大会に出場したら、1回戦を勝つことができました。まだまだ週末のテニスを楽しむつもりでいます。皆様のご参考になれば幸いです。


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